「消された信仰」広野真嗣著

公開日: 更新日:

 東シナ海に浮かぶ「生月島」。隠れキリシタン信仰が現在も守られている最後のエリアで、本来なら世界遺産としてスポットライトがあてられてしかるべきなのに、なぜか日本政府からも長崎県からもその存在を無視されている、というより意図的に消されようとしている。

 その理由をたどって何度も島に足を運んだ先に見えてきたものは、厳しい禁教令ゆえにその信仰を「音(口伝)で伝える伝統(オラショ)」があり、しかも宣教師不在の間にその言葉の意味も不確かになってしまった信徒の姿があった。

 しかも現在のカトリックからはキリスト教とは別物とまで断じられている。しかし、オラショに節をつけた歌オラショの原型が中世イベリア半島で歌われていたグレゴリオ聖歌にあり、それが時を経て現代に残っているのはまさに奇跡で、変節してしまったのはカトリックのほうだったのだ。

 カトリック史のタブーに迫った第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作。

(小学館 1500円+税)


日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    三浦春馬さんに金銭を無心か…「母親の過去」と死の動機

  2. 2

    韓国人の予感が的中…誰も驚かなかった日本のコロナ拡大

  3. 3

    安倍首相“吐血情報”で広がる健康不安説…国会拒否の理由か

  4. 4

    実は交際4年?綾瀬はるか「私と結婚しなさい」発言の真意

  5. 5

    GoTo足かせで宿泊施設増えず…コロナ隔離難民であふれ返る

  6. 6

    三浦春馬さん“前兆なき死”の謎…直前に何か物凄いことが?

  7. 7

    米倉涼子は独立から半年 次回作が決まらない「2つの理由」

  8. 8

    加藤厚労相“指揮権放棄” コロナ禍から逃げまくり表に出ず

  9. 9

    惜しむ声多数も…高岡蒼佑「俳優引退報告」なぜ今なのか?

  10. 10

    チャリティーゴルフで社会貢献 人気絶頂女子プロの“本音”

もっと見る