「闇市」マイク・モラスキー編

公開日: 更新日:

 戦争末期から終戦直後の闇市、闇経済をテーマにしたアンソロジー。

 作家の十吉は、自他ともに認めるヘビースモーカー。しかし、たばこの配給は1日3本しかなく、家に出入りする愛読者の君代が闇市で調達してくるたばこに頼っていた。君代はたばこだけでなくさまざまな品を調達して、十吉の家に持参する。

 一方、作家志望の関口が作品を見て欲しいと十吉の家に通い始める。戦争が終わり3カ月後、久しぶりに関口が訪ねてきた。文学をやめ闇屋になったという関口の話から、十吉は自分が相場よりも高い値で君代からたばこを買っていたことに気づく。(織田作之助著「訪問客」)

 その他、人の手から手へと渡る100円札を語り手にした太宰治の「貨幣」など11編を収録。

 (新潮社 670円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  2. 2

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  3. 3

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  4. 4

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  5. 5

    山尾志桜里氏“ヤケクソ立候補”の波紋…まさかの参院選出馬に国民民主党・玉木代表は真っ青

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  2. 7

    フジテレビCM解禁の流れにバラエティー部門が水を差す…番宣での“偽キャスト”暴露に視聴者絶句

  3. 8

    国分太一は“家庭内モラハラ夫”だった?「重大コンプラ違反」中身はっきりせず…別居情報の悲哀

  4. 9

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒