「〈暮らしやすさ〉の都市戦略」保坂展人著

公開日: 更新日:

 世田谷区長として街づくりに取り組む著者は、アメリカのポートランドを訪れた。ここはかつて造船、鉄鋼業が盛んだったが、産業が衰退し、工場や会社などが閉鎖されて、人影がなく、犯罪が多発する街に。だが、鉄道の広大な操車場があったパール地区から再開発が始まり、銃眼がある19世紀末の軍事要塞が劇場にリノベーションされたり、古いホテルがくつろぎの場として蘇った。

 ポートランドは「徒歩20分の生活圏」をつくることを目指し、ストリートカーや、ライトレール中心の交通網を構築した。郊外には住宅地と農地の境界線を設け、市街地の無限の拡大を止めている。

 ポートランドをお手本に、人間中心の街づくりを目指す区長の挑戦の軌跡。

 (岩波書店 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因