• facebook  
  • twitter  
  • Facebook Messenger

郊外再生のキーワード「ウオーカブル+ワーカブル」

 日本では近年、ほとんどすべての道府県で人口が減少しており、増えているのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県など8都県のみ。増えているとはいえ、東京周辺の3県でも増加率は1%以下である。そして、東京都では2010年から15年までの間で、人口が35.6万人も増加しているが、内訳を見てみると23区だけで32.7万人増えているのだ。

 このままいけば、東京郊外の人口減少や高齢化は加速するばかりだ。三浦展著「東京郊外の生存競争が始まった!」(光文社 840円+税)では、一極化する都市の現状を明らかにしながら、これからの生き方・働き方にスポットを当てた郊外再生の道を探っていく。

 生産年齢人口(15~64歳)に着目すると、埼玉・千葉・神奈川ではこの5年間で10万人以上も減少している。バブル期に開発された、都心から40キロ以遠の地域で特に顕著であり、そこで生まれ育った郊外2世たちが、長時間通勤を嫌い、より便利な商業環境を求めるなどの理由から、当該地域から流出し続けていることが原因とされている。

 これらの地域は、専業主婦の妻が風呂を沸かして夕飯を作り、夫を待っていてくれる家庭なら暮らしやすいかもしれない。しかし、共働きが増えている現代の夫婦には到底適さない。都市的機能を都心にすっかり任せて、食べて、寝て、子育てをするだけの街づくりをしてしまった。これが戦後の郊外の弱点であり、持続可能性を持てなかった大きな要因であると著者。

 今後、生産人口を呼び戻すには、郊外に「働く」という機能を付加し、単なるベッドタウンではない状態に変えていく必要がある。自然の豊かな郊外で、昼間に働く人がたくさんいる環境を整えるのだ。その鍵を握るのが、在宅勤務やサテライトオフィスという形。ネット環境が整った今、働き方改革は行いやすくなっている。これからは、「ウオーカブル+ワーカブル(歩いて楽しい+働いて楽しい)」をキーワードに郊外再生を行うべきであり、働く人の息抜きのためのコミュニティーバーなど、郊外の個性に応じた夜の遊び場もつくれば、住民の連携にも一役買うと本書は提案している。

 これからの郊外の街づくりを考えるヒントになりそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    東京、神奈川、四国…“地方票”石破氏の猛追に安倍陣営焦り

  2. 2

    “被害者”が激白 塚原夫妻の無責任指導とでっち上げの実態

  3. 3

    体操協会なぜ切れず? 塚原夫妻“職務一時停止”本当の目的

  4. 4

    海外では国民が猛反発…「年金改悪」日本だけがやすやすと

  5. 5

    “塚原派”にも追い込まれ…コーチ不在の宮川紗江に引退危機

  6. 6

    交通遺児に残された亡父の車を競売に…劇的展開に感動の嵐

  7. 7

    トップ3は韓国勢でも LPGAは主催者に放映権を要求するのか

  8. 8

    追悼・樹木希林さん 貫いた“奇妙な夫婦愛”と“ドケチ伝説”

  9. 9

    大谷“19勝&350打席”監督予言 2年後には年俸総額150億円も

  10. 10

    右肘手術をさせたいエ軍と避けたい大谷翔平…暗闘の全内幕

もっと見る