「タンジェリン」クリスティン・マンガン著、府川由美恵訳
1956年、アリスは新婚の夫・ジョンに連れられ独立の機運に満ちたモロッコ・タンジールで暮らし始める。しかし、異国の生活になじめず、夫との関係もうまくいかないアリスの前に、ある日、大学時代のルームメート・ルーシーが姿を現す。1年前に2人の間に起きたことが、まるでなかったように振る舞うルーシーの真意が分からない。一方のルーシーは、アリスを一目見て、彼女の身に何かが起こりつつあることを察する。夜、3人で出かけたジャズクラブで、ルーシーはカウンターに移動したジョンがアリスの死角で女性と仲むつまじくしている姿を見てしまう。
異国の地でお互いの腹を探りあう2人の女性の心理戦を描いた長編サイコスリラー。 (早川書房 980円+税)