「酔象の流儀」赤神諒著

公開日: 更新日:

 天正元年、朝倉との戦いに勝った信長の前に、山崎吉家の首が差し出された。吉家は朝倉将棋で最強の駒、「酔象」に例えられ、朝倉の忠臣としても知られていた武将だ。100年にわたって栄えた越前の名将、朝倉宗滴は、享禄4年、加賀の本願寺との戦いで敗北した。そのとき、本陣を守って踏みとどまった別動隊が地獄の戦場から戻ったと聞いて、宗滴は驚愕した。しかも隊将を討たれた隊を指揮したのは、わずか14歳の山崎吉家だという。

 吉家は慕っていた従兄が討たれ、首を取られたのを必死で奪い返したが、心神喪失状態だった。宗滴が従兄の生首を抱きしめると、吉家の目から涙が滂沱とあふれ出た。

 朝倉家の名将に仕えた武士を描く、心が熱くなる時代小説。

(講談社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした