「鹿の王 水底の橋」上橋菜穂子著

公開日: 更新日:

 2015年の本屋大賞受賞作「鹿の王」の続編。前作は東乎瑠帝国を襲った謎の疫病をめぐっての物語だったが、本書の舞台はその何年後かの世界。

 東乎瑠帝国では次期皇帝争いが勃発、そんな折、オタワル王国の末裔で天才的な医術師ホッサルは、恋人で助手のミラルと従者のマコウカンを伴って清心教医術の発祥の地、安房那領へ向かっていた。

 安房那侯の孫の亜々弥が難病で苦しんでおり、清心教の医術では手の尽くしようもなく、オタワル医術によって救えないかと望みを託されたのだ。

 亜々弥を診たホッサルは女児には珍しい出血病だと診断するが、オタワルでも効能のある薬剤はなく、助かるとすれば輸血しかない。だが、清心教においては輸血は禁じられ動物由来の薬剤も忌避されていた。そこで清心医術の故地・花部に赴き薬剤を探すが、そこでホッサルは清心教医術の秘められた歴史を知る……。

 皇帝争いに清心教医術の新旧2派の対立も絡み熾烈な権謀術数が繰り広げられる中、ホッサルは医術の真の役割に目覚めていく。壮大な医療サスペンスファンタジー。

(KADOKAWA 1600円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  5. 5
    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

  1. 6
    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

  2. 7
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  3. 8
    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

  4. 9
    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

  5. 10
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽