「藻屑蟹」赤松利市著

公開日: 更新日:

 福島県C市のパチンコ店で店長として働く雄介は、原発事故後、町にあふれる除染作業員や補償金で裕福な暮らしをする避難民にいら立ちが募る。使う目的もなく、ただ大金を夢見る雄介は、6年後、友人の純也に誘われ除染作業員になる。

 工務店の社長の娘婿に収まった純也は、裏金づくりに余念がない。作業員宿舎の管理人を任された雄介は、長年、原発作業員として働いてきた高橋の面倒を見るよう指示される。高橋は純也の大切な金のなる木のようだが、詳細は分からない。次第に高橋と心を通わすようになったある日、高橋はそろそろ死ななくてはいけないと言いだし、雄介に純也への伝言を託す。

 除染現場と震災の闇をリアルに描いた第1回大藪春彦新人賞受賞作。

(徳間書店 640円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明