「除染と国家」日野行介著

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 原発事故の放射能汚染対策として行われた除染作業には、延べ3000万人の作業員が従事して、2兆6250億円もの国費が投じられた。しかし、福島県内だけで最大2200万立方メートルと推計される汚染土の最終的な処分や費用のめどは全く立っていない。被ばく軽減には避難がより根本的な手段で、除染は汚染地を離れられない人のための補助的対策のはずだった。

 だが、国は事故直後に緊急時を理由に避難指示基準となる線量を年間20ミリシーベルトに引き上げ、除染する基準を年間1ミリシーベルトに設定。これは避難地区を狭めるための国策だった。

 環境省の非公開会合の記録を入手した記者が、官僚や学者を取材し、除染の終了によって原発事故の幕引きを図ろうとする国の嘘を暴くリポート。

 (集英社 860円+税)

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