「ドゥ・ゴール」 佐藤賢一著

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 フランス元大統領シャルル・ドゥ・ゴール。フランスの偉大さを信じ、フランスのために生涯を捧げた男。軍人として2つの世界大戦を経験し、戦後は政治家としてフランスの再建を主導した。その波乱の生涯を、直木賞作家が描いた歴史人物評伝。

 ドゥ・ゴールは1890年、フランス北東部のリールで、教育者の家庭の次男に生まれた。陸軍士官学校で学び、軍人になると、早くも勇猛果敢な反逆児ぶりを発揮する。第1次大戦で戦傷3回。ドイツ軍の捕虜となって収容所を転々とするが、その間、5度の脱走を繰り返した。

 強靱な意志と行動力は、次の大戦でいかんなく発揮される。ナチスドイツがフランスに侵攻すると、イギリスのBBCラジオを通じて同胞にレジスタンスを呼びかけ、ナチスの傀儡・ビシー政府に反旗を翻して、国外に亡命政府「自由フランス」を樹立。フランスの降伏を断固認めず、戦いを続けながら、連合国軍に参加。フランスを戦勝国の地位に押し上げた。国家の危機を救ったのだ。

 ドゥ・ゴールはフランス解放の英雄として正式にフランスの元首となった。連合国軍による軍政を拒み、戦後の混乱の中、国家再建に乗り出す。主張を異にするさまざまな勢力が入り乱れて政権運営は困難を極め、程なく政界から引退。だがフランスは、まだまだこの男を必要としていた。

 政界復帰したドゥ・ゴールは、強いリーダーシップと優れた手腕を発揮する。かつての敵国ドイツとの連帯、脱北大西洋条約機構、反アメリカ。アメリカの核の傘の下に甘んじてはいられないと、自前の核兵器開発を推進。ヨーロッパ共同体からのイギリス締め出しを主張した。

 ドゥ・ゴールは、大統領辞任の翌年、1970年に死去した。それから半世紀。世界の警察官であることをやめたがっているアメリカや、EU離脱に揺れるイギリスを、ドゥ・ゴールならどう見るだろう。その見識を聞いてみたいものだ。

 (KADOKAWA 1700円+税)

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