「平成経済 衰退の本質」金子勝著

公開日: 更新日:

 バブルの頂点と崩壊、その後に続く「失われた30年」で産業競争力は衰え、もはや日本は先進国とは言えないと著者は突き放す。

 バブル崩壊後、経営責任も監督責任も問われることなく不良債権の抜本的処理を怠ったため、1997年に金融危機が発生。日本経済の構造が一変し「失われた10年」は、「失われた20年」になった。そして福島第1原発事故でも同じことが繰り返され、さらに「失われた30年」に。

 その間、政府は堅実な経済政策に取り組むことなく、ひたすら財政金融政策でずるずるとゾンビ化する企業群を救済。2年で終わるはずの異次元の金融緩和はデフレ脱却に失敗して6年以上も続き、出口のないネズミ講と化してしまった。

 そんな平成の30年を総括し、ひたすら「病状」を悪化させてきた衰退の本質に迫る。

 (岩波書店 820円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」