「国家はいつも嘘をつく」植草一秀著/祥伝社

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 かつて、日本で最も信頼されたエコノミストだった筆者を、最近は、ほとんどメディアでみかけなくなった。しかし、本書を読むと、切れ味がまったく衰えていないことが分かる。それどころか、より鋭さを増している。それは、筆者が完全フリーのエコノミストとなって、配慮を必要とする利害関係者がいなくなったからだろう。

 本書は、政府が国民をだましている9つの嘘を暴く構成になっているが、その内容を簡単に言うと、容赦のない政権批判だ。

 例えば、小泉政権が進めた民営化政策は、ハゲタカのハゲタカによるハゲタカのための民営化だと断言する。そして、郵政民営化に際して、かんぽの宿の売却を指示した竹中平蔵大臣が、「コア事業以外は資産を処分すべき」と言いながら、別の機会には、郵政を民営化すれば不動産事業ができると、民営化のメリットを強調したことを取り上げて、「口八丁手八丁のペテン師の姿を彷彿させる」と断罪している。実は、私も同じようなことを感じていたが、政商と呼ぶのが精いっぱいで、さすがにペテン師という言葉は、使えなかった。だから、フラストレーションから解放してくれる痛快な本として読んだ。

 他にも、エコノミストがなかなか書けないことをはっきり書いている。例えば、今年10月の消費税引き上げを参院選直前に延期するだろうと予言する。増税では、選挙に勝てないからだ。

 そして圧巻は、1985年に御巣鷹の尾根に墜落した日航123便の事故原因が、自衛隊による誤射の可能性が高いとして、公式発表を国家の嘘だと断言したことだ。実は私も近著で、この問題を取り上げた。しかし、さまざまな制約から、本のエピローグで、しかもひとつの仮説として指摘するにとどまった。それでも世間の評判は、散々だった。だから、著者の勇気には頭が下がるのだ。

 著者は、もともと反リフレ派だから、安倍政権の金融緩和も批判している。その点は、私とまったく意見が異なるが、それ以外の本書の大部分は、間違いなく真実だ。こうしたフルスイングの政権批判は、めったにお目にかかれない。その意味で、本書は経済社会の真実を知るための貴重な本だ。 ★★★(選者・森永卓郎)

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