「世界遺産」中村俊介著

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 課題が山積の世界遺産について考えるリポート。

 条約採択から約半世紀、世界遺産の登録物件は1000件を超え、今も膨張を続けている。そんな中、「国際社会が団結して人類の至宝を守り後世に手渡す」という原点が忘れられ、副次的な観光や地域振興などに注目が集まり、世界遺産は世界経済に取り込まれつつある。国々の思惑が入り乱れる登録合戦には政治的な介入も日常茶飯事で、評価の難しい物件も目立つ。

 さらに、紛争地帯では国際社会が大切さを訴えるほど、民族の象徴である歴史遺産が敵対勢力の戦意をそぐための攻撃目標にされたり、駆け引きの材料にされたりする。

 激変する世界遺産を取り巻くこうした現状を報告しながら、文化遺産保護のあり方を考察する。 (岩波書店 840円+税)



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