「世界遺産」中村俊介著

公開日: 更新日:

 課題が山積の世界遺産について考えるリポート。

 条約採択から約半世紀、世界遺産の登録物件は1000件を超え、今も膨張を続けている。そんな中、「国際社会が団結して人類の至宝を守り後世に手渡す」という原点が忘れられ、副次的な観光や地域振興などに注目が集まり、世界遺産は世界経済に取り込まれつつある。国々の思惑が入り乱れる登録合戦には政治的な介入も日常茶飯事で、評価の難しい物件も目立つ。

 さらに、紛争地帯では国際社会が大切さを訴えるほど、民族の象徴である歴史遺産が敵対勢力の戦意をそぐための攻撃目標にされたり、駆け引きの材料にされたりする。

 激変する世界遺産を取り巻くこうした現状を報告しながら、文化遺産保護のあり方を考察する。 (岩波書店 840円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち