日韓対立本の現在

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「文在寅の韓国」武藤正敏、勝又壽良ほか著

 日韓対立をめぐる「本」にも対立がある。“あおり派”と“和解派”だ。

 外務省で長く韓国を担当した元外交官と「週刊東洋経済」の元編集長が組んで、韓国の「いま」を読み解くのが本書。ふつうの日本人では知らないことがいろいろ出てくるのが面白い。

 たとえば政権支持率を問う世論調査。実は韓国の世論調査では電話でまず年齢を聞いて「70歳」などと答えると電話を切ってしまう。高齢者は保守政権の支持率が高いので、そういう層の声は初めから切ってしまうというのだ。つまり調査会社が政権に忖度して若年層へ重点をかけると、政権に好意的な答えが得られるというわけだ。

 また韓国では4割が保守、4割が革新で、残る2割が中間層。保革はどちらも岩盤支持層なので何があっても変わらない。そこで中間の2割をどちらが余計にとるかで結果が変わるのだ。そこで事情通は保革それぞれのメディアの世論調査を見比べ、「足して2で割る」という。最近「不支持率」が50・4%と報じられた文在寅も、この「足して2で割る」だと56%が反対と出て、なるほどこれが実態か、となるのだという。

 まずは他国の常識を知ることが「分断」を越える第一の秘訣ということか。

 (宝島社 1300円+税)



「日韓が和解する日」松竹伸幸著

 韓国通ジャーナリストによる本書は、すべての悪の根源は日本の植民地支配にありとする立場にも、韓国のいうことはすべて間違いという嫌韓派にもくみしない、と冒頭で宣言する。そのうえで両国の食い違いが、植民地時代の支配の違法性の有無にあると冷静に分析する。

 韓国はサンフランシスコ講和条約に参加できず、植民地支配の賠償請求の主体として認められなかった。他方、日本では植民地支配の責任がまともに議論されたことはない。すべてがアメリカの反共政策によるご都合主義に振り回されてきたのだ。だから、まずはそこから外交交渉ではっきりさせよう、というのが本書の主張の根幹だ。

 (かもがわ出版 1500円+税)



「日韓の断層」峯岸博著

 現今の両国対立は「これまでとは比べものにならない。超ド級の時限爆弾」と評されたほど深刻だ。徴用工問題で韓国大法院が示した判決は、未払い賃金の請求権など過去の議論には触れず、戦時動員による精神的苦痛への「慰謝料」を認めるものだった。

 この論理だと植民地統治下にあったほぼすべての人に請求権が生じる。これでは問題が小さなうちに解決するのは不可能。日本企業も韓国政府も賠償支払いなどできないレベルになる。韓国政府関係者は「青瓦台(韓国大統領府)もそこまでは想定してなかった」という。

 自衛隊と韓国海軍のレーダー照射問題も、本来最も強い絆のある軍関係者のあいだにひびを入れる羽目になった。こうして戻りようのない断絶が深まったのだ。ソウル特派員や支局長を長くつとめた日経記者による日韓問題解決の糸口を探る書。

 (日本経済新聞出版社 850円+税)



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