特集“生き物の不思議な世界”本

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「まちの植物のせかい」鈴木純著

 身の回りにいる何ということのない生き物は、実は驚くべき習性や生態を持っている。じっくり観察すると、それが非常に合理的であることがわかる。そんな発見を与えてくれる5冊を紹介しよう。



 ヒガンバナは花が咲いている時には葉が出ず、花が終わってから葉を出すので、「葉見ず花見ず」という別名がある。花が咲く9月中下旬は、他の草木が日の光を求めて伸びる時季なので競争が激しい。冬は光合成には不向きだが、周りに草はなく、樹木の葉も落ちているので、この時季に葉を出すと光を独占できるのだ。

 一方、葉をちぎって揉んでにおいを嗅ぐと屁と糞のにおいがすることから名がついたヘクソカズラ。その花を横から見ると、早乙女がかさをかぶっているように見えるのでサオトメバナ、サオトメカズラというきれいな名もあるが、図鑑にはヘクソカズラの名で載っている。細長い花の中にびっしり毛が生えていて、その奧に雄しべがある。ということは、奥まで入っていける虫がいるのだろう。

 町中で見られる植物のプロフィルを紹介。

(雷鳥社 1600円+税)


「鳥マニアックス」松原始著

「鳥のように空を飛びたい」と人は考えるが、鳥の飛翔筋は体重の25%にもなる。人間が羽ばたいて飛ぶのは無理だが、ドイツのリリエンタール兄弟はイギリスのジョージ・ケイリーの揚力の研究をもとに、羽ばたかずに滑空するグライダーの開発に成功した。

 鳥の中には長距離を飛ぶものもいる。カムチャツカで繁殖するカッコウはアフリカ南部で越冬するので、何と1万6000キロを飛ぶことになる。長距離を飛ぶのに方角を間違えないのは、太陽を見て方角を定めているためらしい。渡り鳥を捕獲して緯度のずれた場所で放したら、方角を間違えた。太陽は時間とともに動くが、緯度をずらされた鳥は時差を補正できなかったのだ。

 鳥の飛行や磁気感覚に着目して開発した科学技術を紹介。メカマニアの松本零士とのスペシャルインタビュー付き。

(カンゼン 1600円+税)

「マンガでわかる! 世界のすごい爬虫類」加藤英明著 蛸山めがね画

 インドネシア南部のコモド島周辺にしか生息していないのが、絶滅危惧種のコモドオオトカゲだ。イギリスの動物園で雌が雄と交尾せずに妊娠して卵を産む「単為生殖」であることが確認された。

 卵を産んでも親がそれを守るのは産卵直後だけで、ふ化した子供を食べてしまうこともある。そのため、子供は生まれるとすぐ身を守るために木に登る。嗅覚は鋭く、数キロ先の動物の死骸のにおいも嗅ぎつける。食べる量もすごい。1回で自分の体重の8割の量を食べ、満腹すれば1カ月は食べなくても平気なのだ。

 クロアチア、ドブロブニクのスルジ山にすむアシナシトカゲは、その名の通り足がない。天敵に出合うと山肌の隙間に身を隠すが、足が小さい方が有利なので退化してしまったのだ。

 マンガと写真で爬虫類の驚くべき生態を紹介。

 (誠文堂新光社 1500円+税)

「生き物の死にざま」稲垣栄洋著

 シロアリのコロニーは、王である雄アリと女王アリのペアと、働きアリや兵隊アリでできている。女王アリ以外の雌は卵を産まず、女王アリが産んだ卵を働きアリが世話をする。

 女王アリは1日数百個の卵を毎日産むために腹部が発達して体が重く、自分では動けない。巣の引っ越しの時、産卵能力の低下した女王アリは運んでもらえず、置き去りにされるのだ。

 かつて日本全国にいたニホンオオカミは、人を襲うことはなく、畑を荒らす鹿などを退治してくれる益獣だった。

 ところが、西洋との交易で狂犬病が持ち込まれて、野生のオオカミの間に蔓延した。そのため、山間部では神様としてまつられていたオオカミは駆除され、絶滅してしまった。

「生き物の最期」に焦点を当てた雑草生態学研究者のエッセー。

 (草思社 1400円+税)

「あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話」三條場千寿ほか著

 蚊の中には何と、サカナの血を吸うものもいる。蚊は幼虫とサナギ時代は水中を泳いでいるが、成虫になると水中に潜れない。そこで、陸に上がってくるサカナを狙う。50年以上前に、南太平洋のソロモン諸島で、ソロモンカニアナヤブカが、マングローブの林に生息するトビハゼの血を吸うのが記録されている。

 日本にはアリから血ではなく、栄養分をもらう蚊がいる。琉球列島だけに生息する、クワズイモの葉の付け根の水たまりで幼虫時代を過ごすオキナワカギカだ。成虫になったオキナワカギカの口の先は、3分の1くらいの場所が膨れていて毛むくじゃらになっている。それをシリアゲアリの口に押しつけて、栄養分をもらって生きるのだ。

 ほかに蚊を食べる蚊など、変わった習性の蚊を紹介。日本の蚊34種類の図鑑付き。

 (山と溪谷社 1400円+税)

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