「無刑人 芦東山」熊谷達也著

公開日: 更新日:

 奥州仙台領渋民村の岩渕孝七郎(芦東山〈あしとうざん〉)は、仙台藩の藩儒を務めていたが、ある日、評定役から、妻子ともども伊達家重臣の石母田愛之助にお預けとなったと告げられる。藩の学問所の座列について、学問所の主立(おもだち)である高橋与右衛門の案に逆らったことが原因だった。

 俸禄は支給されるが筆を持ってはならぬということだったのに、石母田頼在が身柄を預かることになったと言われ、見事なすずりと筆を渡された。鬱々として過ごしていたとき、妾のますに、藩儒の仕事から解放された今こそ、室鳩巣に託された「無刑録」の執筆にとりかかるべきだと諭される。24年にも及ぶ幽閉生活の中、刑法思想の根本原理を論じる書を著した儒学者を描く。

(潮出版社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択