「破天荒」高杉良著
昭和33年、父と継母と一緒に暮らすのを嫌った杉田亮平は友人の家を泊まり歩いていたが、「学歴不問、25歳まで」という条件にひかれて石油化学新聞社の入社試験を受けた。学歴は都立江戸川高校と定時制の両国高校中退だったが、面接担当の高橋幸夫は亮平の文章力と対話力を評価して、採用を決める。
月曜日に出社した亮平は社長の成冨健一郎に「こんな青ちょろい若造に仕事が出来るはずがない」と言われるが、「ここにいる誰よりも筆力も取材力もあると思ってます」と答え、高校時代に書いた処女小説が掲載された雑誌を渡した。
翌日、成冨社長は笑顔で迎え、「習作を続けたら良いだろう」と励ます。
著者の自伝的経済小説。
(新潮社 1760円)