「能から紐解く日本史」大倉源次郎著

公開日: 更新日:

 謡曲「国栖(くず)」は浄御原(きよみはら)の帝(大海人皇子)が都から吉野の山中に逃れてくる話である。帝が川沿いの民家で食事を乞うと、民家の老夫婦は国栖魚を焼いて振る舞った。帝が渡した魚の片身を翁が川に放すと、魚は生き返って泳いでいった。これは吉野の人びとが大海人皇子(後の天武天皇)を守ったことを表しており、天智天皇7年から天武天皇元年の4年間に起きた歴史上の事件を描いている。天武天皇が山岳信仰の人たちのネットワークに助けられ、後に政権を取ったという史実を謡曲として伝えてきたのだ。能の舞台で小鼓方を務める著者が謡曲に隠された日本の歴史を読み解く。

(扶桑社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 2

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  3. 3

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  4. 4

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  5. 5

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  1. 6

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  2. 7

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール

  3. 8

    織田裕二「踊る大捜査線」復活までのドタバタ劇…ようやく製作発表も、公開が2年後になったワケ

  4. 9

    「嵐」が2019年以来の大トリか…放送開始100年「NHK紅白歌合戦」めぐる“ライバルグループ”の名前

  5. 10

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞