「あの日を刻むマイク」武井照子著

公開日: 更新日:

 戦時中にNHKアナウンサーとなり、戦後もラジオ番組の司会や制作に携わってきた著者の自伝。

 日本でラジオ放送が始まった大正14(1925)年に生まれた著者の家の本家は、埼玉県北部の町で足袋の製造販売や藍布地の取次などを行っていた大店。本家と分家、住み込みの従業員も含め大所帯の中で自由奔放に育った。

 しかし、次第に戦争の影が暮らしにもおよびはじめ、戦況の悪化で専門学校を繰り上げ卒業。学校の掲示板で見つけた放送員試験を受験してアナウンサーになる。1945年8月14日の夜、敗戦を知った上司は女子アナウンサーを集め、決起した反乱軍が放送局に乱入してきたときの対処法を説いたという。当時の放送局の様子や番組内容にも触れながら、ラジオと歩み続けてきた人生を回顧した貴重な証言。

(集英社 770円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  3. 3

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  4. 4

    清原果耶「初恋DOGs」にファン失望気味も…《低視聴率女王》待ったなしとは言い切れないウラ事情

  5. 5

    会議室で拍手が沸き起こったほどの良曲は売れなかった

  1. 6

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  2. 7

    兵庫は参院選でまた大混乱! 泉房穂氏が強いられる“ステルス戦”の背景にN党・立花氏らによる執拗な嫌がらせ

  3. 8

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  4. 9

    遠野なぎこさんか? 都内マンションで遺体見つかる 腐乱激しく身元確認のためDNA鑑定へ

  5. 10

    新横綱大の里が直面する「遠方への出稽古慣れ」…車での長距離移動は避けて通れない試練に