「マコクライシス」奥野修司著

公開日: 更新日:

 婚約会見後に発覚した金銭トラブルを発端として、バッシングにさらされた眞子さんと小室圭氏。4年間の会えない期間を経て一時金を辞退した末に結婚しても逆風は続いており、なかなか収まる気配がない。

 本書は、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家で、「天皇の憂鬱」「美智子さまご出産秘話」などの著書を持つ著者による、眞子さんの結婚を契機に考察したこれからの皇室論だ。

 なぜ眞子さんは自ら主導してまで小室氏との結婚にこだわり、世間はそれに反対したのか。著者は、皇室の女性が次々批判のターゲットとなった歴史を挙げながら、戦後「開かれた皇室」を目指した末に畏敬なき皇室のアイドル化現象が起きたことを指摘する。

 皇族の結婚相手は、戦前は華族か皇族から選ばれ、戦後は旧藩主や新興財閥、大学教授や外交官の娘へと移行し、眞子さんの代で国民レベルになったことも批判に影響した。

 今後、眞子さんに限らず、皇族は国民の人気という目に見えないものに翻弄されつつ存続できるのか。西ヨーロッパの皇室が次々と消えていったことを例に出し、日本の皇室の危機を訴えている。

(講談社 1540円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?