「旅路の果て」寺山修司著

公開日: 更新日:

「旅路の果て」寺山修司著

 昭和52年の有馬記念。テンポイントと数々の名勝負を重ねてきたトウショウボーイは、このレースでの引退が決まっていた。「男の敵」と題された一文では、この2頭の名馬のこれまでと、最後の戦いを情感豊かに描く。

 ほかにも、姿を消した酒場の女を捜しに出かけた山形県上山の競馬場で出会った老馬イワヌマホープが、かつて中央競馬で活躍していたスイジンだったなど、引退したサラブレッドたちのその後を描く表題作。そして毎週末、予想を店頭に掲げる焼き肉屋の主人の一獲千金大穴型の競馬哲学など、競馬に取りつかれた人々たちを描く「競馬無宿人人別帖」まで。

 競走馬、競馬ファンを温かいまなざしで見つめた名文を収録。

 没後40年を迎えた鬼才が残した伝説的競馬エッセーの初文庫化だ。

(河出書房新社 979円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  2. 2

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  3. 3

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 4

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  5. 5

    日本語ロックボーカルを力ずくで確立した功績はもっと語られるべき

  1. 6

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  2. 7

    規制強化は待ったなし!政治家個人の「第2の財布」政党支部への企業献金は自民が9割、24億円超の仰天

  3. 8

    【伊東市長選告示ルポ】田久保前市長の第一声は異様な開き直り…“学歴詐称”「高卒なので」と直視せず

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?