「底惚れ」青山文平著

公開日: 更新日:

「底惚れ」青山文平著

 武家屋敷で一季奉公を重ねてきた俺は今、とある貧乏藩の御老公の隠居所で働いている。とはいえ、御老公はお家の事情で隠居させられた21歳の若者だ。

 ある日、俺は暇を出された下女の芳を実家の相模に送り届けるよう命じられる。芳は御老公の夜の相手を務め、子まで成したが、後継ぎ問題を恐れた側近に暇を出されたのだ。芳が不憫でならない俺は、その情報を金に換え、芳に渡すつもりだ。

 了解を求められた芳は、その夜、俺を刺して遁走。芳は御老公に「底惚れ」していたようだ。九死に一生を得た俺は、芳が実家に戻っていないことを知る。俺を殺したと思い込んでいるのだろう。芳が女郎屋に身を沈めているとにらんだ俺は、その行方を探す。

 柴田錬三郎賞・中央公論文芸賞をダブル受賞した時代長編。

(徳間書店 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景