「昭和ぐらしで令和を生きる」平山雄著

公開日: 更新日:

「昭和ぐらしで令和を生きる」平山雄著

 空前の昭和ブームは、昭和を知らない若い世代にまで広がり、その楽しみ方もさまざま。お気に入りの昭和グッズで部屋を埋め尽くしている人や、古い街並みや飲食店など昭和遺産を巡る人、さらには昭和からタイムスリップしてきたかのように古着を着こなす人など、ジャンルは多岐にわたる。

 昭和に青春時代を過ごした本書の著者も筋金入りの昭和好き。「できることなら昭和時代へ戻りたいのですが、戻ることはできません。ならばせめて自分の生活だけでも昭和で満たします」と。「360度、昭和に囲まれた生活」を満喫している。

 そんな著者の暮らしを紹介するグラフィック本。

 まずは長年の夢を実現すべく一目惚れで購入した昭和47年築の一軒家と、家具や家電から小物まですべて昭和グッズで埋め尽くした室内を公開。

 玄関のお気に入りポイントはドアの周りが全面ガラス張りになっているところ。夜、室内の明かりがつくと、ガラスを覆う飾り格子の模様が影絵のように浮かび上がる。

 家に入ると、足元は小石が敷き詰められた三和土(たたき)、下駄箱の上には閉業した喫茶店から譲り受けた猫の人形、横の電話台の上にはダイヤル式の黒電話、さらに壁は現代では姿を消しつつある砂壁がここでは健在だ。

 応接室には自身が使い続けてきた家具調ステレオやナショナルの脚付きテレビが鎮座する。

 台所には往時のパッケージのクレンザーやスプレー缶などがインテリアとしてディスプレーされており、風呂場や洗面所も竣工時のままで、実家のたたずまいを思い出す中高年も多いことだろう。

 ほかにも、同じように昭和仕立てにした仕事場として使う一軒家や、愛車のデボネア、ファッションまで一挙公開。その徹底した昭和愛に度肝を抜かれることだろう。

(303BOOKS 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    悠仁さまは学習院ではなぜダメだった?大学進学で疲弊する宮内庁職員「もうやめたい」と悲鳴

  3. 3

    大阪府の8割の小売店でコメ品切れ発生だが…吉村知事「備蓄米放出しろ」が腑に落ちないワケ

  4. 4

    巨人「助っ人野手の獲得下手」汚名返上できた納得の理由…今年はなぜ2人とも“当たり”?

  5. 5

    そんなに女性天皇がいやなのか…最近の雅子皇后いじめの裏にあるもの

  1. 6

    佐々木朗希にメジャースカウト「合格点」も…“投げては休む”は米国で受け入れられるのか

  2. 7

    巨人・坂本勇人は《潔くユニホーム脱ぐべき》低迷でも“1年延命”で現役続行か

  3. 8

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  4. 9

    “異例の成績”報道の悠仁さまに東大の「共通テスト重視」が与える影響は?

  5. 10

    やす子に始まり、やす子に終わった…一体、誰のための「24時間テレビ」なのか