「箱庭クロニクル」坂崎かおる著

公開日: 更新日:

「箱庭クロニクル」坂崎かおる著

 シュウコは何に対しても全力を傾ける性格だ。高等女学校を卒業して京橋にある邦文タイピストの学校に通っていたが、先生は林建忠という中国人で、完璧な日本語を話した。

 ある日、先生とタイプ打ちの競争をすることになったシュウコは、「勅令」の「勅」を探したが見つからない。先生は法律関係の文章なので「勅」を使う可能性があると考え、予備文字からその活字を用意しておいたため、シュウコより早く原稿を打ち終えた。

 その後、上海で騒動があったとき、憲兵が来て先生を連行していった。やがてシュウコは結婚し、ドイツに旅行し、骨董品店で中国語のタイプライターを見つけた。文字盤に新しい活字が3つあった。忘了我(私を忘れて)。(「ベルを鳴らして」)

 心に残る6編の短編小説。

(講談社 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも