「トイレと鉄道」鼠入昌史著

公開日: 更新日:

「トイレと鉄道」鼠入昌史著

 電車や列車、新幹線にトイレがなかったら──想像するのも恐ろしいが、開業当時(1872年)の鉄道の車両にはトイレは設置されておらず、ゆえにさまざまな悲劇が生まれた。我慢できずに窓から放尿して高額の罰金を徴収された乗客もいたという。停車時間に駅のトイレに行ったが、戻ると列車が動き出しており、飛び乗ろうとして轢死した高級官僚もいた。

 日本で初めてトイレが備えられた列車は、1876年に製造された天皇専用の車両「御料車」だった。一般の乗客が使える列車トイレは1888年、鉄道黎明期の私設鉄道会社山陽鉄道が始まりだった。当時の列車トイレは「開放式」と呼ばれる垂れ流しだ。

 以降、現在の快適なトイレに至るまで150年におよぶ鉄道とトイレの歴史を詳述した異色鉄道本。 (交通新聞社 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず