「中流崩壊」橋本健二著

公開日: 更新日:

 かつて「1億総中流」といわれた日本社会は、1980年代から始まった格差拡大で分断され、「格差社会」へと変貌。これまでも非正規労働者の立場の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されてきたが、今回のコロナ禍によって自営業者や個人事業主など旧中間階級に属する人々の脆弱性まで露呈された。

 現代社会には資本家と労働者という2大階級のほかに新旧の2つの中間階級があり、新中間階級は企業などで働くホワイトカラーや専門職だという。この新旧中間階級が近代日本における中流だが、コロナ禍はこの2つの中流に大きな違いがあることを浮き彫りにしたという。

 本書は、各データを駆使して戦後日本の「中流」の成り立ちと歩みを振り返りながら、現代に「中流」を再生させるための方途を論じた社会論。

(朝日新聞出版 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか