「中流崩壊」橋本健二著

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 かつて「1億総中流」といわれた日本社会は、1980年代から始まった格差拡大で分断され、「格差社会」へと変貌。これまでも非正規労働者の立場の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されてきたが、今回のコロナ禍によって自営業者や個人事業主など旧中間階級に属する人々の脆弱性まで露呈された。

 現代社会には資本家と労働者という2大階級のほかに新旧の2つの中間階級があり、新中間階級は企業などで働くホワイトカラーや専門職だという。この新旧中間階級が近代日本における中流だが、コロナ禍はこの2つの中流に大きな違いがあることを浮き彫りにしたという。

 本書は、各データを駆使して戦後日本の「中流」の成り立ちと歩みを振り返りながら、現代に「中流」を再生させるための方途を論じた社会論。

(朝日新聞出版 850円+税)

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