「商人の戦国時代」川戸貴史著
「商人の戦国時代」川戸貴史著
戦国時代が人々を魅了するのは、個性豊かな武将たちの存在はもちろん、日本の歴史においてこの時代ほど地方が注目を浴びた時代はほかにないからだと著者は指摘する。
戦国武将はみな地方で育ち、地方で力を蓄えた。当時の首都は京都だったが、歴史の中心はむしろ京都ではなく、各地の多様で流動的な社会動向だったといってもいいという。
さらに、中央権力の弱体化で開放的な社会をもたらし、世界各地とのグローバルな経済交流が進んでいた時代でもあった。そんな戦国時代の社会を構成し成り立たせていたのは、一握りの権力ではなく、大多数の庶民であった。
経済活動に携わった無名の人々にスポットライトを当て、経済という視点から戦国時代の実情を紹介する歴史テキスト。 (筑摩書房 1155円)