ほとんどフルチェンジ! 5ナンバーの新型スズキ クロスビーがコンパクトSUV市場を変えるのか?
スズキ クロスビー(車両価格:¥2,157,100/税込み~)
予想以上にカッコイイじゃん! 名目的にはマイナーチェンジだが、今後日本市場を変えるかもしれないパワフルな新型コンパクトが先週登場した。
それは新型スズキ クロスビー。8年前の2017年末に登場したコンパクトSUVのマイナーチェンジ版で、骨格は同スズキのソリオだ。
キモは日本では珍しい完全5ナンバーサイズSUVであること。いまどきなんと全長3.7m台で全幅1.6m台とアリエナイほど小さい。比べると今やコンパクトSUVのほとんどが世界戦略車で、ぶっちゃけ日本独自のサイズ基準に付き合っていられない。
具体的には競合のトヨタ ヤリスクロスやカローラクロス、ホンダ ヴェゼル、日産キックスはすべて全幅1.7m超えの3ナンバーサイズ。今や軽を除くと全幅1.7m以下のSUVはトヨタ ライズ&ダイハツ ロッキーの兄弟車と、スズキ ジムニーとこのクロスビーぐらい。
見事な“ライズキラー”となって生まれ変わった
ウチは駐車場が狭くて3ナンバー車は入らないんだよな…という方は、軽かライズを選ぶしかないのが実情だ。だからこそデビューから6年以上経つトヨタ ライズが、日本で一番売れるSUVとして君臨し続けていたのだ。
で、マニアックなジムニーを除き、ライズ対抗馬はクロスビーしかなかったのだが、残念ながらデザイン戦略で失敗していた。
マイチェン前のクロスビーは、当時大ヒット中の同社軽SUV、ハスラーのイメージを拡大化。丸目ライトや全体的に癒やし系のゆるキャラフォルムにしたところ、これがコンパクトSUVニーズに合わず大苦戦。使いやすく便利で安いのに、月販1000台前後を彷徨っていた。
そこで今回大改良が施されたわけだが、力強い見た目と共にパワートレインもエコに刷新。見事なライズキラーとなって生まれ変わっている。
見た目は完全なフルチェンジばりに一新
最大の注目は優しすぎたフロントマスクだが、ライトを完全LED化して大型化。同時に上約4分の1をフラット化し、目鼻立ちをクッキリさせた。
同時に最大の懸念たるフォルムをグリルを横一線ドットにして水平化。普通マイチェンでは変えない鉄板のボンネットとフロントフェンダーまで一新し、箱っぽさを強調。前後バンパーもボディと同色化してワイルド化を図った。その結果、見た目は完全なフルチェンジばりにボクシーに一新!
インテリアもインパネデザインを全面刷新。ポップだが安っぽくも見えたカラーパネルをブラウンの革調樹脂に変更。メーターもアナログから7インチデジタルに、最大10インチのスズキコネクトナビも付けられるようになって高級化。
シートもサイズや骨格は変わらないが、これまた上質な織物調にした結果、見た目はもちろんホールド性もアップ。これまたフルチェンジ級の改良だ。
正直もっと評価されるべき1台
さらに侮れないのがパワートレインで従来の1ℓターボマイルドハイブリッドから、新型スイフト用の1.2ℓ直3マイルドハイブリッド+CVTに刷新。結果、ピークパワー&トルクは80ps&108Nmへと微妙にダウンしたがモード燃費は、最良22.8km/ℓと25%も改良された。
走りは試せてないのでわからないが、スイフトを見る限り低回転トルクはあって悪くないし、ボディは減衰接着材を採用して高応答ダンパーも改良。次回レポートするが良くなっているはず。
何よりソリオ譲りの全長3.7m台コンパクトとは思えないリアシートの広さ、ラゲッジのフレキシビリティが凄い。リアに16cm余のシートスライドを備え、その気になれば大型トランクを2個は積めるのだ。
正直もっと評価されるべきであり、トヨタ ライズの独走を食い止められる存在たるクロスビー。コイツが貴重な国内専用コンパクトSUVとして本来の力を発揮できれば、日本のコンパクトカー市場は間違いなく変わる。もっと自由に選べる楽しいカーライフが送れるはずなのだ。