「生命と時間のあいだ」福岡伸一著
「生命と時間のあいだ」福岡伸一著
生物学者である著者は、ミンコフスキー的解釈(時間の空間化)とは別の視点から時間を捉えようとする。哲学者の西田幾多郎は、時間を空間化することはできず、同じものだという。
「空間即時間」をパラパラ漫画で説明しよう。一枚一枚の絵に「厚み(空間的広がり)」がある。そこには次のページに描かれるべきことが少しだけ「先回り」されて、動きのある行為として表現されている。次のページにも「厚み」があり、その空間的広がりは前ページや次のページの空間的広がりと部分的に重なっている。静止画に時間の厚みを含ませることに成功したのがフェルメールの「牛乳を注ぐ女」である。
坂本龍一などを例に時間のパラドックスを読み解く。 (新潮社 1815円)