「生命と時間のあいだ」福岡伸一著

公開日: 更新日:

「生命と時間のあいだ」福岡伸一著

 生物学者である著者は、ミンコフスキー的解釈(時間の空間化)とは別の視点から時間を捉えようとする。哲学者の西田幾多郎は、時間を空間化することはできず、同じものだという。

「空間即時間」をパラパラ漫画で説明しよう。一枚一枚の絵に「厚み(空間的広がり)」がある。そこには次のページに描かれるべきことが少しだけ「先回り」されて、動きのある行為として表現されている。次のページにも「厚み」があり、その空間的広がりは前ページや次のページの空間的広がりと部分的に重なっている。静止画に時間の厚みを含ませることに成功したのがフェルメールの「牛乳を注ぐ女」である。

 坂本龍一などを例に時間のパラドックスを読み解く。 (新潮社 1815円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み