ロマンあふれるテーマパーク 大ブーム「城」を深堀りする本特集
「城めぐりは一生の楽しみ」いなもとかおり原作 今井しょうこ漫画 加藤理文監修
昨今、城がブームだ。城と城下町は日本古来の美しさを再確認できる場所であり、全国各地のアイコン的観光スポットでもある。近年は戦国時代を題材にした小説やゲームなども人気を博し、今や御朱印ならぬ「御城印」にハマる人も。そんな「お城」の魅力を深掘りする6冊を紹介しよう。
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「城めぐりは一生の楽しみ」いなもとかおり原作 今井しょうこ漫画 加藤理文監修
原作者のいなもと氏を案内人に、ツアー形式で江戸城(皇居東御苑)をめぐり、城の楽しみ方を伝えるコミックエッセー。
まず一行が足を運ぶのは江戸城いちばんのビュースポット。
大手門に入る前に濠の外側から「桜田巽櫓」と「富士見櫓」を遠望する。その景色に参加者は「なんだ、天守がなくても景色が楽しめるじゃん」と景観の美しさにほれぼれ。
そして、いよいよ大手門から城の内郭へ。
これまで約750城を訪ねたいなもと氏によると、城めぐりの大事なポイントはたったひとつ「そこに生きた彼らを感じる」ことだという。
例えば、攻め手・守り手の兵の気持ちになって門を突破すれば、その城のポテンシャルがわかる。
一方、石垣や塀の前では、当時の人足や石工になったつもりで妄想しながら、その構造を解説。
30年かけて築城された江戸城の歴史から、門や石垣に刻まれた築城時や修繕・修復時の刻銘や刻印などにも目を凝らし、城の魅力を熱く語る。
合間には大阪城や熊本城など各地の城の見どころもマップで紹介。
一読すれば、城沼にハマること間違いなし。
(KADOKAWA 1650円)
「オールカラー徹底図解城の攻め方・つくり方」中井均監修 かみゆ歴史編集部編
「オールカラー徹底図解城の攻め方・つくり方」中井均監修 かみゆ歴史編集部編
東京には江戸城以外にも城跡がいくつもある。
そのひとつ滝山城(八王子市)は、北条氏3代目・氏康の次男・氏照の居城で、上杉謙信の関東遠征に備え永禄6(1563)年から築かれた。遺構がよく残存し、山城の規模や巧みさに触れられる絶好の城だという。北条氏が得意とした「馬出」(城の出入り口である虎口の前面に設けられた堀で囲んだ攻撃防御の拠点)などを用いた城の守りが堪能できる。
全国に3万から4万の城が存在したというが、城と聞いて思い浮かべる天守閣、石垣、水堀を持つ城(近世城郭)は全体の1%にも満たず、多くは南北朝時代にかけて築かれたこの滝山城のような山城だった。
戦国時代に入ると、技術が格段に発展し城が巨大化。織田信長が築城した安土城から近世城郭の歴史が始まり、関ケ原の戦いの後に慶長の築城ラッシュがあった。
本書は、建武元(1334)年に陸奥の国司・南部師行によって築かれた「根城」(青森県)をはじめ、あの「姫路城」や「名古屋城」など、多くの名城を取り上げ、戦国の城、近世の城、それぞれの構造や、攻め方、守り方を写真やイラストを用いてわかりやすく解説した入門ガイド。
(宝島社 1540円)
「縄張り図から読み解く近世城郭 西日本編」高田徹著
「縄張り図から読み解く近世城郭 西日本編」高田徹著
「縄張り図」とは、城郭の遺構から、配置や構造を読み取り、図示したもの。中世の山城跡の現状や、遺構の状況をわかりやすく伝えるものとして作成されてきた。
著者によると、現代の精緻な測量図より縄張り図の方が、遺構の状態を分かりやすく示すという。
縄張り図は、主に中世城郭を対象として作成されることが多い。規模が大きい近世城郭は、平地部であれば都市化・宅地化が進んで遺構の状態が確認しづらいからだ。
本書は、著者自ら調査して描いた近世城郭の縄張り図を紹介しながら、解説したテキスト。
そのひとつ、郡山城(奈良県)は豊臣秀長ゆかりの城だ。城は天正9(1581)年に筒井順慶によって築かれ、天正13年に大和・紀伊・和泉国を領する秀長の居城として整備され、それが近世城郭に継承されたという。
街中に残る外郭の土塁や堀の跡などの現状からの推測、さらに外堀の一部に取り込まれたため池の放水権や堀の高低差による水位調整のための「堀障子」など、当時の城の特色を解説しながら、郡山城の在りし日の姿を浮かび上がらせる。
その他、二条城や大坂城など42城を縄張り図をもとに読み解く近世城郭の画期的研究書。
(戎光祥出版 4180円)
「全国『武将印』徹底ガイド 増補改訂版」小和田哲男監修
「全国『武将印』徹底ガイド 増補改訂版」小和田哲男監修
城巡りの楽しみのひとつとして近年、定着しつつあるのが全国のお城や観光協会が発行・販売している武将をテーマにした「武将印」だ。
お寺や神社でいただく「御朱印」のようなもので、中央に大きく武将名が書かれ、背後には武将の家紋などが押されている。
さら武将の名言や辞世の句が書かれたものや、武将ゆかりのお城のシルエット、本人をモデルにしたイラストがデザインされたものなどもあり、現在、全国で200種類以上が発行されている。限定版やバージョン違いなどもあるそうだ。
例えば時の天皇から「古今無双の名将」と称えられた織田信長。
織田家の家紋「木瓜紋」は共通だが、永楽通宝や「覇」の文字、天下布武の印が押されたものなど、人気武将だけにいくつもの武将印がある。
その信長を討った明智光秀、そして濃州(美濃国)三傑として、信長・光秀と斎藤道三の名が書かれた通常の2倍の大きさの武将印などもある。
以降、豊臣軍、徳川軍、真田軍など、それぞれにゆかりの武将をはじめ、城と城主の名を記した「御城印」まで、150種以上を各武将たちのエピソードとともに網羅。
(メイツ出版 2090円)
「日本百城下町」黒田涼著
「日本百城下町」黒田涼著
お城巡りには他にもまだまだ楽しみがある。そう、城下町だ。
本書は、数ある城下町の中からおすすめの100町を取り上げ、その見どころを紹介してくれる町さんぽガイド。
例えば、1604年に佐竹氏によって築城された久保田城。その城下町は現在の秋田市だ。城は明治の大火で消失し、その中心部が千秋公園として整備され、城内(園内)には天守風の資料館もある。著者のおすすめは同じく城内にある「あきた舞妓劇場」だ。全国にその名を轟かせる「秋田美人」の評判が広まったのは、秋田を訪れた明治の文人たちが花街の川反芸者の美しさを褒めたたえたのが始まりらしい。
劇場は、名声を誇ったその川反芸者を復活させようと、築100年以上の料亭を再利用して公演形式で芸と食事が楽しめる施設になっている。
ほかにも、16世紀にまでさかのぼる蕎麦発祥の地である高遠城の城下町の長野県伊那市や、古い町並みに明治期に来日して活躍したウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した洋風建築群が融け込む八幡山城下の滋賀県近江八幡市など。
すべてその足で訪ねた著者が各城下町のとっておきのおすすめを紹介。
(笠間書院 2200円)
「地球の歩き方戦国」地球の歩き方編集室編
「地球の歩き方戦国」地球の歩き方編集室編
お馴染みの旅のガイドブック。そのテーマは、ずばり、戦国時代の日本を感じられる旅だ。
まずは、戦国の世を生きた群雄たちがよりどころとしたお城をはじめ、武具や当時の文化、そして勢力図の変遷まで、戦国時代の基本知識をおさらい。
北海道には有名な松前城などの他に、「根室半島チャシ跡群」のようにアイヌの人々が築いたチャシと呼ばれる遺構が約500カ所も残されている。城は、基本的に軍事施設だが、「チャシ」と沖縄で「グスク」と呼ばれる城は、双方とも宗教施設としての性格を兼ねる場合が多いことが他の都道府県の城との違いだという。
以降、47都道府県すべてのスポットを網羅。地方ごとにおすすめの周遊プランも提案する。
例えば、東北地方なら独眼竜・伊達政宗の足跡をたどる旅として1泊2日でゆかりの地を巡る山形と宮城を旅するプラン。
初日、米沢駅を出発して、政宗出生の地とされる米沢城や第一の重臣・片倉小十郎景綱の居城・白石城を巡り、仙台の奥座敷・秋保温泉に宿泊。翌日は仙台城や政宗の霊廟・瑞鳳殿を巡るという具合だ。
いざ、戦国時代にタイムスリップを楽しもう。
(Gakken 2420円)


















