第15話:キラキラしている時計がボクを見ている
アイテム:ROLEX 16264 サンダーバード グレービッグローマン
お客様:清川俊介 様
◇ ◇ ◇
何年前のことだったか記憶はおぼろげだが、日付だけははっきりと覚えている。
平成のある年、8月12日。
商品問い合わせの、その電話はかかってきた。
「御社に初めてお電話いたしました。私は清川といいますが、購入させていただきたい時計がございまして」
非対面の商売の場合、名乗ることは安心と信頼を生む。
「お電話ありがとうございます。ご希望の商品はお決まりでございますか?」
「サンダーバードです。文字盤は落ち着いた色のグレーがいいです」
(おっ、通な人だな)
「ご用意可能です」
「やっと、買えます!」
むろん、ここでいう「サンダーバード」とは、未来の世界で世界中の事故や災害から人々を救助する秘密組織「国際救助隊」の活躍を描いた英国の特撮人形劇のことではない。
「サンダーバード」はROLEXの中においても独特なモデルである。
この「サンダーバード」という呼び名は愛称であり、正式にはTURN-O-GRAPH(ターンオーグラフ)と呼ばれる系譜のモデルである。
ROLEXはふたつのカテゴリに大別される。
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