「寂しい時代です」ピアニスターHIROSHIが音楽界を憂う
右手でポップス、左手でクラシック――。客席からリクエストされた2曲を即興で左右同時に演奏するなど、エンターテインメント性の高いライブで老若男女に人気のピアニスト・HIROSHI(54)。ド派手な衣装で斬新な演奏スタイルを確立した「ピアニスター」に話を聞いた。
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左右違う曲の同時演奏は、子供の頃からやっていました。僕にとってピアノは我が人生で最大にして一番身近なおもちゃでした。でも自分の家にはピアノがなくて、近所で音が聞こえてくるとその子の家に上がり込んでは、遊びで耳に残っている童謡を探り弾きしていましたね。
5歳から教室へ習いに行くようになりましたが、僕の親は音楽に疎い人たちで、(同時演奏も)「ピアノやってる子はみんなあなたみたいに弾けるんでしょ」と思っていたみたいです。
でも、クラシックピアノは小学6年生で一度やめて、高校時代はバンド活動ばかりやっていました。芸大(東京芸術大学楽理科)進学を決めたのも高校3年ギリギリ。武蔵高校は進学校で、同級生の半数以上が東大に行く中、ふっと「この人たちと将来合わす顔がない。でも芸大なら格好がつく」と、とっても不純な動機で決めました。その頃から変わった服装をしていたんですけど、世の中って本当ありがたいことに、芸大に入ると「芸術家ならそうだよね」と、何でも免罪符になるので助かりました(笑い)。