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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

野暮は抜き 広い心で楽しむ石田ひかり主演ドロドロドラマ

公開日: 更新日:

 昼間から深夜へと異動させられた、東海テレビお得意のドロドロ系ドラマ枠。「屋根裏の恋人」の主演は石田ひかり(45)だ。

 下町・両国に住む相撲好きなヒロインを演じた、NHK朝ドラ「ひらり」の放送から25年。最近は姉の石田ゆり子が「逃げ恥」などで好評だったが、妹も満を持しての連ドラ主演復活である。

 西條衣香(石田)は証券マンの夫(勝村政信)、高校生の娘、中学生の息子と暮らす専業主婦だ。18年前に姿を消した恋人・瀬野(今井翼)が突然目の前に現れる。父親を自殺に追い込んだ人物への復讐を果たそうとしている瀬野は、衣香の家の屋根裏部屋に、強引に住みついてしまう。

 瀬野に傾斜する衣香。彼女の親友(三浦理恵子)と不倫関係にある夫。ミュージシャンに貢ごうとキャバ嬢のバイトをしていた娘。そして学校でイジメを受けていた息子。家族それぞれが問題を抱えていたことがわかってくる。しかも姑(高畑淳子)が、いくつかの秘密に気づいているのだ。

 このドラマ、「いくら屋根裏でも住み続けるのは無理」とか、「バイオリンなんか弾いたらバレるだろう」とか、リアリティーうんぬんは野暮な話だ。石田のどこか無理をしている不倫妻、今井の逃亡者には見えないモッサリ感、どうしても実の息子の顔がちらつく高畑の怪演などを、広いココロで楽しめばいい。

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