79歳の大林宣彦監督 戦争前夜と現代日本の“類似性”に警鐘

公開日: 更新日:

「僕は戦争でいっぺん死んでいますからがんごときでは死ねませんよ」

 そう言って自身の難病を笑い飛ばすのは映画作家の大林宣彦(79)だ。医師から1年4カ月前に余命3カ月を宣告されながらも完成させた映画「花筐/HANAGATAMI」。この新作に込めた戦争と平和への思いを熱く語った。

「戦後のモノカネ主義が大嫌いで、ずっと清貧を志しつつ映画を作ってきた。そんな僕の映画人生の中で、規範となった小説が2つある。福永武彦の『草の花』と、もうひとつが本作の原作となった檀一雄の『花筐』です。どちらも戦争でゆがめられた友情や恋愛の物語で、そこに惹きつけられました」

 太平洋戦争勃発前夜の佐賀県唐津を舞台に、奔放だった若者たちが時代に翻弄され追いつめられるさまを描いた青春群像劇。窪塚俊介満島真之介常盤貴子ら実力派キャストを揃え唐津でロケ撮影した。

「(ヒロイン役の矢作)穂香に最初会ったとき、NY帰りでふっくらしてた彼女に肺病の少女役は無理だと言った。6キロくらい痩せればなと思っていたら、なんと次に会ったら8キロ減らして役作りしてきた。(門脇)麦ちゃんも、役柄上、一緒に飲み食いしないだろうという人とは撮影中、仲がいいのにずっとそっぽをむいていたり。僕はそんなことまでしろとは言ってないのに自発的にやっていた。(常盤)貴子ちゃんがそれとなくリードしてくれたみたいだけどね。僕の現場はいつもこんな感じだけど、『花筐』はそれが今までで一番うまく機能したと思う」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」