(1)糖尿病治療を変える…オートファジーの再利用機能を取り戻す

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「オートファジーは、体に備わる力で病気を予防し、健康寿命を延ばす希望の仕組み。高価な薬や特殊治療に頼らず生活の中で実践できるコスパとタイパに優れた健康法です」

 こう言うのは、トロント大学医学部招聘教授の高橋利匡医師。国内外で最新治療に携わる過程でオートファジーの概念に出合い、オートファジーを応用した医療革新に現在挑戦中だ。今日から4回にわたり、高橋医師が特に注目する4つの病気との関連について紹介しよう。

 まずは、糖尿病とオートファジーについてだ。

「オートファジーは各臓器にある細胞内の老廃物・不要物を分解し、再利用するシステムです。加齢とともにオートファジーは衰えていくのですが、膵臓、肝臓、筋肉、脂肪細胞でオートファジーの低下が起こると、糖尿病、脂肪肝、肥満が同時進行で悪化していきます」

 一例を挙げると、膵臓でオートファジーが働かなくなると、ストレスが蓄積してβ細胞が減少。インスリン分泌の乱れが起こる。肝臓では、脂肪が蓄積され脂肪肝が進行。ミトコンドリアが損傷して活性酸素が発生し、肝炎に至る。糖を作る力も過剰なのに加え、脂肪肝が状況を一層悪化させる。また、筋肉では質や量が低下して、全身のエネルギー効率が落ちる。糖尿病とオートファジーの関連が明らかになるにつれ、治療の考え方に変化が生じてきている。

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