北九州市立図書館(福岡県)映画のロケ地にもなった「ゴシック風」空間
北九州市小倉北区は、かつて関ケ原の戦いで功績をあげた細川忠興が築城した小倉城の城下町として発展してきた。西日本では姫路城に匹敵する巨大な城郭を誇った小倉城の足元に中央図書館はある。
1975年4月開館。子ども図書館・文学館を併設した複合公共施設で、今年開館50周年を迎えた。丹下健三に師事した建築家・磯崎新氏(1931~2022年)による丸みを帯びた設計がユニークだ。76年に第17回建築業協会優良建築賞を受賞している。
「ヴォールトと呼ばれるアーチ状の屋根が特徴的です。コンクリートの外壁の上に、工場で別に造ったアーチ状の屋根パーツを乗せることで柱のない大空間を作り出すほか、工期短縮の狙いもあったそうです。周囲に市役所などが位置する丘陵地に建てるため、あまり高すぎず、広い空間を確保できるように設計されたといいます。当時の市長と磯崎氏とのご縁があり、当館が手がけられたと聞いています。図書利用はもちろん、建築そのものを見に来られる方もいらっしゃいますね」(運営企画課・田中真徳庶務係長)
内部は天井が高く、アーチ状のコンクリートが連続するさまは、教会のようなゴシック様式を思わせる。映画「図書館戦争」のロケ地にもなった。映画が初めて公開されたのは10年以上も前だが、「聖地巡礼として県外からお見えになる方が今でも多くいらっしゃる」(同)という。

















