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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

日本映画界はさっぱりだが…粒ぞろいの単館系欧州戦争映画

公開日: 更新日:

 今年の夏、日本発の戦争映画大作が公開されることはなかった。テレビではNHKスペシャルをはじめとして、力の入った戦争特集の番組が多く見応えがあった。なのに日本映画界ではさっぱりだ。戦争を題材にした作品への関心度が低いのだろう。何とも残念である。

 ところが、単館系の映画館を見てみると、戦争や歴史劇を題材にしたヨーロッパの作品がやけに多くて逆に驚く。公開中の作品だけでも、「ヒトラーを欺いた黄色い星」「スターリンの葬送狂騒曲」「英国総督 最後の家」「チャーチル ノルマンディーの決断」といった具合だ。

 純然たる戦争ものとは違う作品もあるが、何本かは歴史上の人物にスポットを当てることで、当時の社会状況や政治情勢を描いている。欧州では、映画で歴史を描くことは自然なことなのだろう。当然、それを受け入れる観客の存在も大きいとみえる。日本でも、さきの作品の興行が年配者中心に好調で捨てたものではない。

 実際、驚くことも多々ある。公開されたばかりの「チャーチル――」は、チャーチルの苦悩がひしひしと感じられて圧倒される。彼は若い兵士の死者が増大するとして、フランス解放を目指す連合軍のノルマンディー上陸を断固拒否するのだ。その決意が全くもって凄まじい。

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