著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

オードリー若林 斜め視線やめて得た他人の視線からの解放

公開日: 更新日:

「だから通って1年後ぐらいには、菊地亜美をいじり倒せるようになったんです(笑)」(「文春オンライン」18年9月6日)

 さらに大きな転機となったのが、16年の春だった。最愛の父と尊敬する先輩の前田健が2週間のうちに立て続けに亡くなったのだ。

 前田とは21歳の時に出会い、初対面で「みんな死んじゃえって顔してるね」と言われ何かを見抜かれた気がした(文芸春秋社=若林正恭著「ナナメの夕暮れ」18年8月30日発売)。ブレーク後はよく、「今、幸せ?」と問われた。きっと「幸せになりなさい」と言いたかったのだろう、と若林は思い返している。

 父の死の間際、若林は「ありがとな」と母と手を握り合っているのを見た。

「その時にやっと、人間は内ではなく外に向かって生きた方が良いということを全身で理解できた」(同前)

 このまま、世の中をナナメに見てカッコつけていたら、人生はすぐに終わってしまう。だから、ハロウィーンの仮装、バーベキュー、海外旅行……、そういった誰かが楽しんでいる姿や挑戦している姿を冷笑するのをやめた。そして、かつて自分が否定していたプロレス観戦、ゴルフ、一人旅などを積極的に行うようになった。

 “好きなことがある”と、それだけで朝起きる理由になると若林は言う。自分が好きなことが分かると、他人が好きなことも尊重できる。「他人への否定的な目線」から“卒業”できた若林が得たものは、人見知りの原因のひとつだった「他人からの否定的な視線への恐怖」からの解放だったのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり