「尼僧ヨアンナ」尼僧院の悪魔払いで描く愛欲と狂気の相克

公開日: 更新日:

 聖職者といえども人間だ。男も女も性欲を封殺するのは難しい。おそらくヨアンナは生来の性欲の強さに多重人格が上塗りされたのだろう。彼女は尼僧院という女だけの世界で禁欲を強いられ、スリン神父も自己に“女犯”を禁じてきた。

 両者は己の肉体を打擲(ちょうちゃく)するが、自己を戒めれば戒めるほど愛欲という悪魔は強大化し、生身の男女として引かれ合う。本作に漂うのは禁欲と狂気の相関関係であり、そのためスリン神父は衝撃の結末に至る。

 明治維新の際、江戸城の大奥から大量の張り形が出てきたといわれる。江戸時代には江島生島事件が起き、感応寺事件では大奥の女中たちが破戒僧と情交していた。現代のAV女優には快楽が目的で出演する女性が少なくないそうだ。

 古今東西、人は性欲と闘ってきた。ヨアンナは特別に堕落した女ではない。ただ彼女から天使が飛び去っただけなのだ。

(森田健司/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    麻生太郎が「皇室典範」改正を急ぐ理由は…“日本会議の30年の集い”に間に合わせたいから

  2. 2

    福山雅治も結婚後は苦戦…亀梨和也も正念場を迎えている

  3. 3

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  4. 4

    安青錦は「カラダ」より「アタマ」に課題…2ケタ勝利で大関復帰を果たせるか

  5. 5

    小栗旬は「思い入れがない」コメント…福田雄一監督また炎上でも仕事が減らない映画業界のウラ事情

  1. 6

    要潤、玉山鉄二、速水もこみち…40代イケオジ俳優3人の「人生いろいろ」

  2. 7

    高市首相に“もう1つの爆弾”「副首都法案」炸裂の可能性 会期延長なら疑惑追及&身内疲弊のWパンチ

  3. 8

    二宮和也をNHKが起用で音楽特番MCは元嵐まみれに…テレビ局では“ポスト嵐”探しが迷走中

  4. 9

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  5. 10

    引退した東山紀之に錦織一清演出で「少年隊」還暦コンサートのすすめ