トリの談志が遅刻するとヒザ代わりがつなぐことに…

公開日: 更新日:

 林家一楽という芸名をもらって寄席に出るようになったとはいえ、池袋演芸場が多かった。当時は端席といわれていたが、厳しい客が多く、若手にとっては格好の修業の場である。

「1980年代、改築前の池袋は古びた寄席で客が少なかった。それなのに、当時協会に在籍していた談志師匠は好んで出てました。ただ、忙しい方なのでしょっちゅう遅刻する」

 トリの談志が遅れると、ヒザ代わり(トリの前の色物)がつなぐことになる。

「あたしも一度ありました。映画の撮影の仕事が延びて40分遅れると楽屋に連絡が入った。談志師匠には、『ヒザ代わりはトリが遅れてることを客に気付かせてはならない』という美学がある。でも、若手の紙切りが汗びっしょりかきながら30分以上切ってるの見りゃ、客は気付きますよ。談志、まだ来てないなって(笑い)」

 遅れた時の談志は、高座に上がると気を入れて演じ、出来がいいとわかっているから客は遅刻を許す。

「談志師匠のいいところは、どんな若い芸人にも、面倒をかけると必ず『ありがとう』と言ってくれる。あたしにもそう言って、終演後行きつけのバーでごちそうしてくれました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然