著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

表現の自由の侵犯 「主戦場」騒動で問われる今後の映画界

公開日: 更新日:

 今年の東京国際映画祭が11月5日に静かに閉幕した。静か過ぎて寂しいくらいだったが、同時期に国内外で大きな注目を集めた映画祭が他にあった。KAWASAKIしんゆり映画祭だ。慰安婦問題を題材にした「主戦場」という作品の上映をめぐり、二転三転したからだ。

 コトは「主戦場」の上映が中止されたことに始まる。映画祭の共催者である川崎市が訴訟中である同作品の上映に難色を示し、映画祭側はそれを受け入れたのだが、若松プロダクションが猛抗議に出た。映画祭で予定されていた自社製作の2作品の上映取りやめを決断し、記者会見も開いて不当な中止を訴えた。是枝裕和監督も映画祭に参加し、中止を痛烈に批判した。

 これらがきっかけになり、映画祭は最終日の4日に「主戦場」を急きょ上映したのである。映画祭側は事後の状況で問題の重要さと大きさが分かり、対応能力を問われた。ただし、急きょの上映実施に対する川崎市側の意向はいまだに不明瞭だ。そもそも、川崎市は何を「懸念」していたのか。それはどこで誰によって生じたのか。すべて、分からずじまいだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし