井筒和幸
著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

対策も焼け石に水 そもそも五輪を夏にやることがオカシい

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 沖縄の人は悲しくてたまらないだろうな。でも、我らヤマトンチュウ(大和人、本土の人)はその痛みは分からない。10年ほど前、夜の首里城の門をくぐったら「この城は何回燃え落ちたか、ヤマトンチュウは知らないね? あの戦争で4度目だよ」とウチナンチュウ(沖縄の人)の守衛さんにいきなり言われたもんだ。

 あの城の悲惨きわまる過去を何も知らずに訪れたのが恥ずかしかった。太平洋戦争末期、城の下に地下壕を掘り、日本陸軍が総司令部を置いていたため、米軍に集中砲撃されて焼失し、司令部の将兵は逃げたが、残された何千人もの戦傷兵らが集団自決したところさ、と教えられた。そして、戦後やっとここまで復元されたと知らされたら、仰ぎ見る正殿まで続く坂を上っていくのがおっくうになり、見学せずに帰ってしまったことも今となっては悔やまれる。

 我らヤマトンチュウの多くは、玉砕戦で首里城が焼失したことなど知らずにいる。修学旅行か観光で初めて知り、「へー、そうなんだ」と街でソーキそばを食って「渋谷の店よりお肉多いね」と話すだけだ。東京の10代、20代の半分は沖縄戦すら知らないだろう。ライトアップされた宮殿の朱色が京都の平安神宮の朱色とは違っていて、それが妙に中華的でポップだったのが懐かしい。

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