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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」に出演中。

トランプ敗北を勝利宣言と報じたメディア…垂れ流しは広報

公開日: 更新日:

 アメリカ時間の11月7日の正午ごろ、帰国便に乗る直前のニューヨークのジョン・F・ケネディ空港でバイデン氏の勝利の報に接した。10日間のアメリカでの大統領選挙取材を終えて、その結果を確認できて帰国できたこと、そしてトランプ政権に終止符を打てたことに安堵した。

 それにしても、混乱だった。ただし、この混乱は選挙そのものではない。メディアの混乱だ。日米いずれもだが、日本のメディアは当事者意識が希薄なだけに、その混乱ぶりに抑制が利いていなかった。読者、視聴者を惑わせるものだった。特に、開票日の夜遅くに行われたトランプ大統領の会見の報道だ。現地時間同4日午前2時すぎに出てきたトランプ大統領にはいつもの余裕と笑顔はなかった。後ろに控えるペンス副大統領の表情もこわばっていた。それでも「我々は勝った」と口にした。更に、選挙に不正があったと民主党を批判し、集計を止めるよう一部の州に求めた。そして裁判で争うと息まいた。何のことはない。事実上の「敗北宣言」だ。平たく言えば次のようになる。

「私は本当は勝っている。しかし一部で、不正が行われて民主党に票を盗まれたからこのままでは負ける。だから集計を止めろ。我々は裁判で勝つ」

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