弟弟子の小朝が36人抜きで真打ち「師匠は伝えにくかった」

公開日: 更新日:

 一朝に遅れること2年、1970年4月、柳朝に弟子入りしたのが春風亭小朝である。高校に通いながら、夜席だけ寄席で働く小朝(前座名・小あさ)を柳朝は甘やかした。

「小朝が寄席を5日も休んだので、どうしたのかと師匠に尋ねたら、『林間学校に行ってる』と言うんで、楽屋に居た皆が呆れたくらいでして」

 小朝は二つ目昇進後、めきめきと頭角を現す。テレビのレギュラー番組では「横丁の若様」のキャッチフレーズで売り出し、勉強会を開けば満員の盛況だ。NHKの新人落語コンクールで最優秀賞を取ったことで、さらに評価が高まり、落語協会の理事会で、80年5月に真打ちに昇進させると決まった。先輩二つ目を36人飛び越しての大抜擢である。

「その中にあたしも入ってたんで、師匠は伝えにくかったんでしょうね。いつ言おうかと躊躇してるうちに、脇からあたしの耳に入っちゃった。『師匠、水くさいじゃありませんか。弟弟子の出世を、あたしがねたんだりひがんだりするわけないじゃないですか。長い付き合いなんだから、言ってくれりゃいいのに』。そう言いたかった。ちょっと寂しかったですねえ」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」