井筒和幸
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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

集団心理的な思考停止…時代の危うさが似ている1964と2021

公開日: 更新日:

 一昔前、「日本は神の国だから」とあの失言元首相は言ったが、いまだにこの国は何でも最後には神風が吹いて勝つとでも思ってるのか。政府が緊急事態宣言解除を2週間延ばしたのは、感染の様子見かと思ってたら、全国聖火リレーを25日から福島でスタートさせないと、五輪の開会式がどうにもならないからだと。ふざけた話だ。経済を戻したくないのか、どうなんだ。

 太平洋戦争に突入してしまった昭和16年の、東条内閣の「戦争ありき」の集団心理的な思考停止と似ているんだな。アメリカが突きつけた最後通牒に日米交渉でどう折り合うかは目的ではなく、とにかく、11月30日までと外交の期限まで切って、12月初めに開戦だと1カ月前から決めていたのだ。戦争回避することだけに努めるのではなく、戦争という悲壮な理想だけを掲げて奇襲の準備も進めた。結果は真珠湾攻撃だ。アメリカが乗るかも知れない外交条件と先の見えない戦争にいい加減な希望を見て「神頼み」しかなかった。我ら映画屋でも、クランクイン(撮入日)を決めて準備は進めても、支障が出たらすぐに遮断機を下ろし、日を延ばすのは当たり前だ。

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