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山田勝仁演劇ジャーナリスト

こまつ座「日本人のへそ」“日本の中心”の虚妄を痛烈に風刺

公開日: 更新日:

 一幕は音楽劇、二幕は推理劇の体裁を取り、東北生まれの一人の女の有為転変の人生を通して日本社会の権力構造、その中心に位置する「権力のへそ」を風刺した。

 エロスと言葉遊びを武器に社会の底辺から権力を撃つ井上戯曲の真骨頂といえる。

 ヘレン役の小池栄子は抜群のプロポーションでトルコ嬢からストリッパー、極道の妻役まで妖しい魅力を振りまいた。実力派・山西が芝居を引っ張り、ミュージカルの井上芳雄、元宝塚の朝海ひかるの万全の歌唱が芝居に厚みを加えた。

 ヤクザ、右翼、政治家らが論理でなく「腹芸」で日本を牛耳るという皮肉。「日本人のへそ」とは戦争責任の連鎖の先、どこまで行っても真の戦争責任者にたどりつけない日本の「虚空」を指すのかもしれない。今回で4回目の栗山民也の熟練した演出によって舞台が生き生きと立ち上がった。ピアノ演奏は朴勝哲。

 3時間。新宿・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで28日まで。4月1~4日は大阪新歌舞伎座。その後、横浜、宮城、名古屋を巡演。 ★★★★★

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