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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

本邦初の「超高齢妊娠出産ドラマ」の見どころと充実感

公開日: 更新日:

NHKドラマ10「70才、初めて産みますセブンティウイザン。」

 妻から「私、妊娠しました」と告げられた時、夫はどう答えるべきか。正解はもちろん、即座に「おめでとう!」だ。

 しかし夫が65歳で妻が70歳だったら、どうだろう。「70才、初めて産みますセブンティウイザン。」(NHK)である。

 定年退職したばかりの江月朝一(小日向文世)も戸惑った。妻の夕子(竹下景子)と結婚して40年。まさかの「おめでた」だが、夕子に産むことへの迷いはない。朝一も胎児のエコー画像を見て父親になろうと決意する。

 とはいえ周囲の反応はほとんど否定的。夕子はパート仲間に「生まれてくる子に無責任」となじられ、兄(竜雷太)からは縁を切ると脅される。

 これは本邦初の「超高齢妊娠出産ドラマ」だ。すべてが初体験の熟年夫婦には、喜びだけでなく不安もある。ママパパ教室で赤ちゃん人形の手に触れて、「この小さな手を私は守れるのか?」と自問する朝一。だが、暗くなったりはしない。いつまで子供を育てられるかなど心配は尽きないが、「子供には子供の未来がある」と腹をくくる。

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