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SALLiA歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター

歌って作って踊るスタイルで話題を呼び、「イデア」でUSEN 1位を獲得。2018年より仏像オタクニストの活動を始め、初著「生きるのが苦しいなら」は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。近著に「アラサー女子、悟りのススメ。」(オークラ出版)がある。

EXIT兼近もハマる「ウマ娘」擬人化コンテンツはなぜ人気?

公開日: 更新日:

 お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹(30)がハマっていることでも知られるスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」。約3カ月で600万ダウンロードを突破し、大ヒット中の同ゲームは、トウカイテイオーやハルウララなどの競走馬を“擬人化”したコンテンツだ。過去にも日本刀を擬人化した「刀剣乱舞」や、第2次世界大戦の軍艦や艦艇を女性に擬人化した「艦隊これくしょん」など、さまざまな“擬人化コンテンツ”が人気を博してきた。

 アニメやゲームの変遷を見てきた大分県のサブカルバー「アニたま」のオーナー宮本浩二郎さんはこう説明する。

「擬人化コンテンツで成功しているのは、ほんの一握り。たくさん出ては消えていく印象があります。そんな中で、生き残るのは身近な題材だけど、意外と深くまでは知らない知識欲や想像力をかき立てるものだと感じます。日本刀や競走馬のほかには、世界の国、文豪など、その存在を知っていても詳しくは知らず、コアなファンが多いものですね。それらを“親近感”を持たせるところまで落とし込んで作ったゲームは話題になるし、持続するように感じています。実際にウマ娘もプレー層は10代から50代と幅広いのも特徴です」

 筆者もウマ娘に触れたことで「競走馬」に彩り豊かな“生のストーリー”が存在していることを初めて知った。また、競馬ファンの間でも<長らくの競馬好きで競馬ゲームも散々やってきたが、レースシーンが秀逸>とか<特にアニメは史実の細かなところまで再現していて、競馬ファンほど感動できる>といった声が上がっている。目の肥えたガチの競馬ファンが支持しているところにウマ娘のすごさが結集していると感じる。

800年ほど前に誕生した「鳥獣戯画」その一種

 そもそも、“擬人化コンテンツ”は歴史的にも文化的にも日本人に馴染み深い手法のように思える。今から800年ほど前に誕生した「鳥獣戯画」は、動物たちが人間のように振る舞うさまを描いた“擬人化コンテンツ”と言ってもいいだろう。

 甲・乙・丙・丁と呼ばれる全4巻構成で、甲巻の後半では、サルの導師がカエルの仏像に向かってお経を上げている場面があるが、仏像好きには「なるほど!」とうならずにはいられない。実は如来という悟った仏様の身体的特徴の一つとして「水かきがついている」というものがある。人々を漏らすことなく救い上げるという意味なのだが、カエルと仏様の共通項の「水かき」がつながることで、鳥獣戯画の解釈の幅が広がる。そのような意味が分かると一気に面白くなる“小ネタ”が利いていたり、動物たちが意味するものから人間社会への風刺を捉えたりなど、表面的な部分だけではわからない仕掛けが随所に凝らされている。

 日本古来の“エッジの利いたユーモアセンス”が、現在の擬人化コンテンツに受け継がれていると感じるし、だからこそ日本という土壌ではやることは必然でもあったように思う。 

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