「ナイト・ドクター」と「TOKYO MER」 コロナ禍で変化した医療ドラマの描き方

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 今期放のドラマでダントツに面白いと評判なのが、フジテレビ系の月9ドラマ「ナイト・ドクター」とTBS系の日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」だ。どちらも「医療ドラマ」だが、「ナイト・ドクター」は人が人の命を救うことの難しさや、人間だからこその弱みや強みを描いた"人間ドラマ"。「TOKYO MER」は新設の救命救急チームに政治が絡んで展開される"ヒーロードラマ"だと感じている。

 両ドラマの比較記事も散見されるが、テーマや方向性が全く違う。ただ、新型コロナウイルスの影響が出てから制作された両ドラマには"医療従事者"に対する最大限の敬意が色濃く反映されている。視聴者もコロナ禍前とは違う印象を持って医療ドラマと向き合っているように思う。

■医療従事者に対する敬意を感じさせるそれぞれの魅せ方

 今期ドラマの中でいち早く放送を開始した「ナイト・ドクター」は現在4話まで放送され、平均視聴率は12%台と安定している。

 病院の働き方改革により夜間救急専門チームが発足され、年齢も経験値も考え方も全く異なる医師たちが自分の弱さや問題と向き合いながら、それぞれが成長していく物語だ。

 医師同士のタメ口や、4話の患者と医師が男を巡り取っ組み合いの喧嘩をするなど物議を醸す場面も見られたが、この作品の世界観ではそういうものなのだと割り切って見るべきと思うほど、「ナイト・ドクター」には医師たちの"人間としての成長物語"としての魅力が詰まっている。

 働く医師たちは皆、完璧ではなく、むしろ人間的にも未熟な側面をそれぞれが持っており、自分の持っていないものを持つ同僚を羨み、焦り、自分の弱点を突かれた時は怒鳴りあったりもする。

 過去にも、自閉症とサヴァン症候群を抱える医師が主人公の「グッド・ドクター」や、施設で育った親を子宮頚がんで亡くした医師が主人公の「コウノドリ」など、医師のバックボーンが窺い知れる作品もあったが、ここまで"人間らしさ"を軸に描かれる医療ドラマはなかなかない。

 患者一人一人に生きてきた人生や辿ってきた背景があるように、医師一人一人にも同じものが存在している。それが彼らを強くもし、弱くもしている。その部分をしっかり描くことにより、医師だから素晴らしいのではなく、人が医師として精一杯もがいているからこそ素晴らしいのだと気付かせてくれるドラマだ。

「すべての医療従事者の皆さんへ」のテロップ

 一方、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の主人公たちは、最新技術を搭載した動く手術室の"ERカー"に乗り、事故災害の現場で魔法のように命を救っていく救急救命チームだ。初回放送終了直後には「#TOKYO MER」がツイッターの世界トレンド1位に輝き、2話の視聴率も1話の視聴率を超えるなどの反響が広がった。

 ERカーや現場に急行してその場で手術などを行う救急救命チームは、実際には存在していないが、だからこそ夢があり、手に汗握る展開からの死者ゼロという流れはまさに"ドラマの醍醐味"と言える。

 またERカーと救急救命チームは、政治家たちの権力争いの駒の一つになっており、それもまた半沢直樹のような空気感を楽しめる日曜劇場の魅力とも言えるかもしれない。

 主人公・喜多見幸太(鈴木亮平)の過去やスパイとして送り込まれている音羽尚(賀来賢人)の心の内など、今後気になる伏線が回収されていくのも楽しみで仕方がないが、オペシーンもかなり本格的で、1分1秒を争う事故や災害現場で華麗に人々を救っていく姿はまさに"アベンジャーズ"のようであり、そんな姿を楽しめるのも医療ドラマならではだろう。

 特に「TOKYO MER」は毎回放送時に【すべての医療従事者の皆さんへ 最大の敬意とエールをこめて】というテロップが流れ、同様のメッセージが公式ホームページにも制作陣の熱い想いと共に掲載されており、今作が「医療従事者への感謝と敬意」をもとに作られたドラマであることが伝わってくる。

 両ドラマは、ともすればニュースの向こう側の出来事に感じてしまいがちな医療従事者の過酷さ実感させ、自然と敬意を払いたくなる。両ドラマを最後まで見届けたいと思う。

(文=SALLiA/ライター)

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