著者のコラム一覧
伊藤さとり映画パーソナリティー

映画コメンテーターとして映画舞台挨拶のMCやTVやラジオで映画紹介を始め、映画レビューを執筆。その他、TSUTAYA映画DJを25年にわたり務める。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当。レギュラーは「伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談&監督対談番組(Youtube)他、東映チャンネル、ぴあ、スクリーン、シネマスクエア、otocotoなど。心理カウンセラーの資格から本を出版したり、心理テストをパンフレットや雑誌に掲載。映画賞審査員も。 →公式HP

「スペース・プレイヤーズ」は新旧WB祭り!お馴染みのキャラクターが映画ファンを増やす心理

公開日: 更新日:

 見慣れた芸能人に親近感を持つように、実際に会わずとも広告やメディアなどで何度も目にしている人物に対して人は親しみを覚えます。これを心理学では「単純接触効果」と言うのですが、その頂点に立つのがミッキーマウスやムーミン、スヌーピーなどであり、“キャラクターの商品化”へと繋がっていきます。そんなキャラクターへの親近感から予告編でも話題となった映画『スペース・プレイヤーズ』が8月27日から公開中です。

■ワーナー・ブラザース祭り? 夢のスポーツエンターテイメント『スペース・プレイヤーズ』

 主要キャラクターは、配給会社ワーナー・ブラザース映画が1930年から生み出したアニメ『ルーニー・テューンズ』のメンバーです。バッグス・バニーやトゥイーティーの他に、DCコミックスの『スーパーマン』や『ワンダーウーマン』、『ジョーカー』、さらには『キングコング』『アイアン・ジャイアント』『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズ他、バラエティーに富んだ新旧のワーナー・ブラザース作品のキャラクターが登場。そこに加えて主演はバスケットボール界のキング、レブロン・ジェームズがほぼ本人と言っても過言ではない同姓同名の主人公を演じているリアリズムを、実写とアニメーションの融合で味わえる映画になっています。

実写とアニメーションの融合

 物語は、NBAのスーパースター“レブロン”が、息子との関係を修復しようとする中で、ワーナー・ブラザースのサーバーを仕切る邪悪なアルゴリズムこと“アル・G・リズム”の策略により、突如、バーチャルワールドに吸い込まれてしまいます。そこで人気キャラクターたちと出会い、彼らと共にバスケのe-スポーツバトルに挑戦するというスポーツエンターテイメント。すでに気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は1997年に日本公開された、実写アニメ映画『スペース・ジャム』(1996)を見て夢中になったレブロン・ジェームズの参加が決定したことで本作の映画化が実現。『スペース・ジャム』は、伝説の選手マイケル・ジョーダンが、ルーニー・テューンズと共に宇宙人チームを相手にバスケの試合をする物語で、ジョーダンの他にも本物のバスケットボール選手たちが出演し、人気ミュージシャンが多数参加したサウンドトラックも話題になりました。

ヒットの鍵は“大集合”と“ゲーム世界”

 確かに尊敬するスターや馴染みのあるキャラクターが登場する映画は、それまで映画館にあまり足を運ばなかった人たちへの呼び水になります。実際に、同じワーナー・ブラザース配給による2018年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』には、世界の有名キャラクター以外にもハローキティや機動戦士ガンダム、メカゴジラ、『AKIRA』の金田バイクなども登場し、日本でも大ヒットを記録。それはキャラクターを多く所有するディズニー映画でも実証されていて、『シュガー・ラッシュ』(2012)の続編として2018年に公開されたアニメーション『シュガー・ラッシュ:オンライン』には、ディズニープリンセスが大集合、その他、『スター・ウォーズ』キャラクターなどの登場により、前作を上回る興行収入を記録しています。

 さらに現在大ヒット公開中のディズニー配給によるライアン・レイノルズ主演の『フリー・ガイ』にも、マーベル・スタジオ製作の映画『キャプテン・アメリカ』や『ハルク』、『スター・ウォーズ』のパロディ他、ライアン・レイノルズと交流のある有名俳優たちがカメオ出演しています。

 しかもどの作品もゲームの世界が舞台となる偶然の一致。それって今や全世界、ゲーム時代だからなのか? いや、ゲームの世界という非現実空間だからこそ、活躍の場が違う人気キャラクターを集結しやすいということなのでしょうか? なんにせよ、親近感あるキャラクターたちが活躍する非現実世界での大冒険は、彼らが登場するだけで胸躍り、世代を超えて不安だらけの現実を安心して忘れられる極上の体験となるのです。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」